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安蔵光弘&城戸亜気人「対談:国産ワインの未来」@アカデミーデュヴァン(11/30)

200708merkido3.jpgアカデミーデュヴァンで行われたメルシャンの安蔵光弘さん、Kidoワイナリーの城戸亜気人の対談セミナーに行ってきました!ダブル造り手さんによるセミナーはお話もワインもかなり濃密。書きたいことが山盛りです。


お話はまず日本でのワイン造りの歴史からはじまり、長野での産地のお話。ワイナリーに勤める立場と、自身のワイナリーを立ち上げた立場、それぞれでのお話。


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特に印象に残っているのは日本ではワイナリーの設備に相当お金がかかるということ。ボルドーではプレス機や瓶詰め機をレンタルできるけど、日本では全て自社でまかなわなくてはならない。畑でもボルドーには稲作のコンバインのような半自動苗植機や暗渠排水設置機があり、かなり作業が効率化されている。さらに製造と販売の役割分担がはっきりしており、造り手は栽培と醸造に集中することが出来るそうです。


そして棚栽培と垣根栽培との違いのお話から城戸さんが今可能性を感じているというスマートマイヨーガ方式のお話へ。棚と垣根の良い所をあわせたような仕立てで、樹勢が抑えられ日照条件も良くなるそう。今後どんな結果が出るのか楽しみです。


さらにメルシャンの故・浅井昭吾(麻井宇介)さんのお話へ。そもそも明治時代の日本ではヨーロッパ系品種が垣根で栽培されていたそうです。しかもその面積は現在の倍。しかしフィロキセラで葡萄が全滅。残ったアメリカ系の葡萄が棚栽培に適していたことから、いつのまにか「日本で垣根は向いていない」と言われるようになったとか。


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垣根が向いていないということ以外にも、そもそも日本はワイン用葡萄栽培には向いていないという宿命的風土論が常識として語られるようになっていました。そこに「固定観念に縛られるな、宿命的風土論に捕らわれるな!」と一石を投じたのが浅井さんです。浅井さんの「ワインづくりの思想」を読むと、その思いが強烈なまでに伝わってきます。


既に末期がんで手遅れの状態だったという浅井さんは入院中の身ながら藤沢でワインに携わる若手、ワイナリー関係者、メディアなどを対象に浅井さんを囲む会を開催されたそうです。そのときの浅井さんの思いを継承されたのが、安蔵さんや城戸さんをはじめとするウスケボーイズと呼ばれる面々。城戸さんも独立を考えていた際に、自分の中で浅井さんに後押しをされたと感じていらっしゃるそう。


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今回は浅井さんをしのぶ会でもあるということで、お話の随所に浅井さんが登場しました。五一ワインの林幹夫さんとも仲良しだったという浅井さん。お二人は桔梗が原メルローの生みの親でもあります。


亡くなってもなお、ものすごい存在感を感じる浅井さん。それは彼の後継者たちのワインからも伝わってきます。今回のセミナーでは城戸さんのワインが3種類、シャトー・メルシャンのワインが5種類。城戸さんのワインは若々しくパワーあふれるもの、そしてメルシャンのワインはエレガントでスムーズ。どれも素晴らしいものばかり。


中でも一番印象に残っているのは1998シャトー・メルシャン桔梗が原メルローシグニチャー。浅井さんがニュージーランドのプロビダンスで亜硫酸無添加の赤ワインを造っていることを知り、それをやってみようという目的で仕込まれたワイン。


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醸造チームが厳選した果実を使い、瓶詰めまで亜硫酸無添加、瓶詰め時に少量添加されたワインだそうです。限定醸造で500本のみ。しかもほとんどはNYワイン・エクスピアレンスに出店したため、一般には販売されていません。造り手すらもめったに飲めない非常に貴重なワイン。


その味わいは…どこまでもやさしくすーっと沁みこむような滋味あふれる味わい。これは自然派ワインに共通する感じ。ユーカリのような清涼感ある香り、森の赤い果実、やわらかい舌触り、9年経過しているとは思えない、どこまでもフレッシュでピュアな味わい…うまいっ…うますぎです。


通常の桔梗が原メルローとは明らかに違うこの印象、これは一体何がもたらすものなのか?徹底的に選果された葡萄?それとも極限まで抑えられたSO2??安蔵さんのお話ではこのワインではいろんな試みをされているそうで、樽の中に入っている時からこんな柔らかい味わいだったそうです。


こんなワインたちを前にすると、「日本のワインは薄くていまいちでしょ?」と言われていたことがはるか昔のことのように感じます。次の世代を担う造り手たち、そして彼らが育てる葡萄から醸されるワイン…国産ワインの未来が本当に楽しみです。浅井さんもきっと、天国で見守られていることでしょう。

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